楮と向き合う
子どもが4年間通っているキッズアートスペース。
二週にわたった、ペンダント製作。
この材料なんだかわかりますか?
これは楮(こうぞ)といい、和紙の原料。
軟らかく煮て、周りの部分を和紙原料に使った残りの芯の部分です。
(穴が開いています)
ノコギリで切って、やすり掛けして、色をのせて…。
時間と情熱をかけて、(時にへこたれながらも)仕上げてきました。
この楮、先生のご友人の森田千晶さんという和紙作家さんから譲り受けたものだそう。
森田さんはご自宅で楮を育てるところから取り組まれています。
先生も活動に参加されているそうです。
子供が作ってきた楮はどこからきて、どんなふうに使われ、どうなっていくのか…。
そんな興味から、森田さんの展覧会に行ってきました。
「自然とともにいて、楮を育て、刈り取り、蒸して、繊維を取り出し、
一つ一つ型を描き、浄らかな水を通して、紙を作り出す。
気の遠くなる工程全てを手仕事で、来る年も来る年も、黙々と。
現代にこの作業を行う意味を問えば、
決して用途のためだけでないのは明らかだ。」
組む東京 HPより (企画展「紙宮」)
真摯に和紙と向き合う姿、
圧倒的な存在の空間…。
私の仕事も、向き合う。
図面と向き合う、
お客様と向き合う、
それはいつも真摯でひたむきでありたい。
向き合う時間は地味で黙々としたもの。
その黙々とコツコツと地道に行った作業や、沢山の見聞きした経験の向こうに結果(=良い住宅・居心地の良い空間)があるのだと思うのです。
時代は急速に変わっています。
建築の世界でも、便利なものを上手に取り入れつつ、
向き合うことは変わらず大切に。
How is life?
TOTOが運営するギャラリー間での企画展「How is life? 地球と生きるためのデザイン」
会期:2022.10.21~2023.3.19
「社会を変えていくために建築になにができるのか。現代社会の様々な障壁を突破するチャレンジを紹介します。」ギャラリー間HPより
展示はギャラリー間の運営委員4人が自らキュレーターとなり、How is life?の問いかけに答えている多彩な事例を紹介しています。
展示はテーマも規模も時代も、多岐にわたりましたので、一見バラバラなようにも見えます。
ちょっと雲をつかむような内容だな~とも思いましたが、それが面白かったところでもあります。
その中で私が気になったのは、「神水公衆浴場」2020年
公衆浴場のオーナーは構造設計家であり、2016年の熊本地震で被災。家族と住むマンションが半壊。給水車や健康ランドに長蛇の列ができた一方で銭湯が復興できずに次々と潰れていく様子を目の当たりにして、自宅の一部の機能である「風呂」を拡大して「公衆浴場」として家族と共に自ら運営。番台にも座り、閉店後にはこの風呂に入る…。(展示冊子より抜粋・一部編集)
お風呂は家の中でもかなりプライベートな部分。私もいつもマチと家が関わることを考えているのですが、はたして自分に同じことが出来るのかな??これは究極のマチとのかかわりなのでは…!と。
この計画の背景にある、家族を含む居住者さんの思いに衝撃と、尊敬を感じました。
話は変わりますが、
私は「ギャラリー間」の展示はスペースが好きです。
コンパクトながら2つの階に分かれていて、途中で中庭に出て、外階段を上がっていく空間構成になっています。
沢山の情報がある展覧会。コンパクトでこじんまりしているココはいつも静かにゆっくり見ることが出来て、私にはぴったりの場所です。
そして、いつも展示にちょっとした仕掛けがあるのです。
今回は、気になった説明文を手に取って集めていくスタイル。最後にハトメにして、お持ち帰りできます。そんな自分でできる小さなアクションがあるのが楽しいですよね。
中川エリカさんの個展
中間検査で久しぶりに都内に出たので、ふと思い立ってギャラリー間へ。
中川エリカさんの個展「JOY in Architecture」
「精一杯の、がむしゃらで向こう見ずなエネルギーでつくり続けていると、建築におけるよろこびをいくらでも見出すことができます。模型から建築を生み出すことが楽しくてしょうがないというよろこびもあれば、人びとの暮らしや営みには生きた発見がまだこんなにもあるのかというよろこびもあります。」
ギャラリー間のHPより引用させていただきました。
とにかく模型模型模型!!
模型に愛を感じ、人が好きで、人が暮らすところに興味があることが伝わってきます。
子供部屋のテーブルにはA3用紙が置かれていたり、洗濯物に混じって干し柿が干されていたり(笑)
子供のランドセルや靴…。
建物を造るのではなく、暮らす場所をイメージされている。
コロナ化でこういった催しも貴重です。
パワーをいただきました!
カテゴリー:06_architect・art